SSブログ

131 石見相聞歌 柿本人麻呂 [万葉集]

石見(いはみ)の海 角の浦廻(うらみ)を 浦なしと 人こそ見らめ 潟なしと 人こそ見らめ よしゑやし 浦はなくとも よしゑやし 潟はなくとも 鯨魚(いさな)取り 海辺を指して 和多津(にきたづ)の 荒磯(ありそ)の上に か青く生ふる 玉藻沖つ藻 朝羽振る 風こそ寄らめ 夕羽(ゆふは)振る 波こそ来寄れ 波の共(むた) か寄りかく寄る 玉藻なす 寄り寝し妹を 露霜の 置きてし来れば この道の 八十隈(やそくま)ごとに 万(よろづ)たび かへり見すれど いや遠に 里は離(さか)りぬ いや高に 山も越え来ぬ 夏草の 思ひ萎えて 偲ふらむ 妹が門見む 靡けこの山

-----

 石見に妻を残してきたという。梅原猛は上京に際しての歌ではなく、
受刑者として赴く男の歌と解釈したという。
徒歩が難しくとも籠か馬など手段はあるのでしょうが、
それでも諦めざるを得なかったようだ。

-----


柿本人麻呂 石見相聞歌の鑑賞 花の絵




nice!(0)  コメント(0)