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秋 思 <張 籍> [漢詩]

洛陽城裏 秋風を見る
家書を作らんと欲して 意 万重
復恐る匆匆 説きて尽くさざるを
行人発するに臨んで 又封を開く

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秋風から故郷を懐かしみ手紙を書いたという。
唐代にはすでに郵便制度があり切手を貼ってポストに入れていたという。
この詩では使いの人に運んでもらうが、再度読み直しをしたという。
「秋風を見る」というのがいいですね。通ぶって使えそうです。

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漢詩紹介 公益社団法人 関西吟詩文化協会






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85 君が行き日長くなりぬ 磐姫伝説 [万葉集]

 君が行き 日長くなりぬ 山尋ね 迎へか行かむ 待ちにか待たむ

 かくばかり 恋ひつつあらずは 高山の 岩根しまきて 死なましものを

 ありつつも 君をば待たむ うち靡く 我が黒髪に 霜の置くまでに

 秋の田の 穂の上に霧らふ 朝霞 うつへの方に 我が恋やまむ


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 85~88の上記4首は仁徳天皇の皇后、磐姫皇后の作とされているが、
「記紀」での言動とは全く違う心優しい性格から別人という。
この4首は仁徳天皇時代の古い作ではなく、第二期万葉の時代に
伝承歌などが磐姫伝説と結びついたものと考えられるそうだ。 


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飯山の昼行灯



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江南逢李亀年 <杜甫> [漢詩]

江南にて李亀年に逢う 杜甫
岐王(ぎおう)の宅裏(たくり)尋常に見
崔九(さいきゅう)の堂前(どうぜん)幾度(いくたび)か聞く
正(まさ)に是(こ)れ江南の好風景
落花の時節又君に逢う


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李亀年が人気歌手で杜甫は父に連れられ幼い頃から見ていた。
44で任官し名士の前で堂々と歌う李亀年も目にしていた。
が、安史の乱で二人の人生が狂う。それが都を遠く離れた江南で再会する。
涙でしょう。
左大臣さんの解説は分かりやすかったです。

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漢詩の朗読 左大臣光永







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64 なつかしい大和 志貴皇子 [万葉集]

 葦辺行く 鴨の羽交ひに 霜降りて 寒き夕は 大和し思ほゆ


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 志貴皇子が文武天皇のお供で浪花離宮へ旅したという。
車がない時代の旅は時間がかかるので、故郷を思うのでしょう。
それを言うのに、鴨の羽に降る霜を使う。見事なのでしょう。 

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万葉集一覧データベース



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初到黄州 <蘇軾> [漢詩]

自ら笑ふ平生口の為に忙しきを
老來 事業 轉た荒唐
長江郭を繞って魚の美きを知り
好竹山に連って筍の香しきを覺ゆ
逐客妨げず 員外に置かるるを
詩人例として水曹の郎と作る
只だ慚づ絲毫の事を補ふなくして
尚ほ官家壓酒の嚢を費すを


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朝廷を誹謗した詩を書いたとして、4か月の拘禁の後、左遷となったという。大家族の転居となる。
締め括りに、心苦しいことがある。役にはたってないのに給与を貰っているとある。
これをお上に対する嫌味と解説がある。
半分嫌味で、半分助かったとホッとしているのでしょう。

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初到黄州:蘇軾 漢詩と中国文化






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58 棚なし小舟 高市黒人 [万葉集]

 いづくにか 舟泊てすらむ 安礼の崎 漕ぎ廻み行きし 棚なし小舟


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持統太上天皇の三河への行幸の際の歌という。
天皇在位中での行幸も43回で31回が吉野だったそうだ。
多いのでしょう。

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短歌のこと 光のことば、言葉のひかり

持統天皇の行幸の一覧



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秋日偶成 <程 明道> [漢詩]

閑來事として 従容ならざるは無し
睡り覺むれば東窓 日已に紅なり
萬物靜觀すれば 皆自得
四時の佳興は 人と同じ
道は通ず天地 有形の外
思いは入る風雲 變態の中
富貴にして淫せず貧賤にして樂しむ
男児此に到らば 是豪雄


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 仕事を離れ暇な生活を満喫する。
富貴であれ貧賤であれ、自分を保ち楽しんで暮らすということでしょう。
しかし、その境地には修養が必要のようだ。
そんな大層なことなのか、キリスト教に限らず普通じゃないですかね。

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漢詩紹介 公益社団法人 関西吟詩文化協会







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56 巨勢の春野 春日蔵首老 [万葉集]

 川の上の つらつら椿 つらつらに 見れども飽かず 巨勢の春野は


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 椿の短歌が9首あり、3首に「つらつら」が使われている。
御所のリンク先をサラッと眺めると56番歌の「見れども飽かず」が腑に落ちてくる。
「つらつら」を2回使うのもいいですね。
椿は国字で、日本原産だという。

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短歌のこと

万葉集のつらつら椿が見られる『巨勢寺跡』@御所市



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夏初の雨後に愚渓を尋ぬ <柳宗元> [漢詩]


 悠悠 雨初めて霽(は)れ
 独り繞(めぐ)る 清渓の曲(くま)
 杖を引きて 荒泉を試み
 帯を解きて 新竹を囲む
 沈吟 亦た何をか事とせん
 寂寞 固より欲する所なり
 幸いに此に營營を息(や)む
 嘯歌して 炎燠(えんいく)を静めん


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 「悠悠」が長い時間で、梅雨明けとなる。自然と戯れる。
後半4行がかっこいいですね。
あくせくする意を「營營」としているが、火災が語源なのやもしれません。
「言葉の庭」調べてみると、「火火」は冠ではなく部首ではなかった。
「松明」のようだ。語源は本題ではないが勉強となりました。

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【漢詩】柳宗元「夏初の雨後に愚渓を尋ぬ」 左大臣光永






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51 明日香風 志貴皇子 [万葉集]

 采女の 袖吹きかへす 明日香風 都を遠み いたづらに吹く


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 壬申の乱(672)で近江大津宮から飛鳥浄御原に移るが、持統朝となり藤原京へ遷都となったそうだ(694)。志貴皇子は天智天皇の第7皇子。近江朝の生き残りだった。
廃都の飛鳥浄御原を「いたづらに」と言っていることは、悲しみ、悲嘆ではなく、空しいのであり、解説にあるように、「風を却って親しく受けた」のでしょう。

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志貴皇子の歌 古典に親しむ



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